今回は多くの人が疑問に思っている「英検1級の価値」についてお話したいと思います。
私は英検1級の勉強を本格的に始める前と後で、英検1級の価値についての意見は変わりました。
英検1級合格に向けて勉強中の方、英検1級を受験しようかどうか迷っている方、英検1級のことがよくわからない方、に少しでもヒントになればと思います。
- 英検1級を受ける意味ってなんなの?
- 英検1級の資格ってそんなに役立つの?
- 英語マニアックな人が受験するって本当?
というような、英検1級に疑いを思っている方にも参考になればと思います。
目次
英検1級のメリットこれ本当!?
一般的に英検1級の資格が役立つとされているもので、すぐに思い浮かぶのはこの3つです。
- 大学受験
- 就職活動
- 通訳案内士の1次試験免除
一般的な英検1級のメリットについてはこちらの記事も参考になります。
参考記事 : 英検1級合格のメリットは?
これらは、英検1級という「資格」を得ることで、あなたが得るメリットであると巷でよく言われていることです。
英語力を評価する試験は、英検だけに限らず、TOEIC,TOFEL, IELTS,ケンブリッジ英検など様々です。
英検はその中でも4技能のバランスがとれており、比較的日本で広く認知されている英語試験の代表です。
その最難関である英検1級に合格する!ということは、英語上級者の証明ともいえ、大学受験や就職活動などでも有利に評価されることがあります。
近年、英検1級合格者は通訳案内士の1次試験免除資格を受けられるようになったのも大きな英検1級のメリットだと思います。
さて、実際のところは、どうなのでしょうか?
次に私の経験から、英検1級の資格から受ける恩恵についてお話します。
実際に英検1級の資格から受ける恩恵はほとんどない
私自身について言いますと、英検1級に合格した後に前述したような恩恵に預かったことは一度もありません。
これらの恩恵は合格した結果得られる「ボーナス」ぐらいに思っておいたほうがいいと思います。
そもそも、受験や就活の目的で英検1級の勉強を始めたわけではないのですが、英検1級の資格があったことで、何かが有利に働いたということはこれまでありません。
(英検1級に合格するのが遅すぎたということもありますが)
さらにいうと、私は現在英語を使った仕事をしていますが、英語で仕事ができるようになったのは英検1級を取得する前からのこと。
また最近でいうと東京オリンピックのボランティアに応募して、参加させていただけることになりましたが、これも英検1級に合格する前のこと。
何がいいたいかと言いますと、英語を使って何か新しいことを始めたい、経験を積みたいという希望は、英語資格がなければできないなんてことはありません。
本当に英語ができる人は、TOEICのスコアなんて気にもとめないですし、英検なんて受けたこともないという人は多いです。
本当のプロの通訳や翻訳の方は、資格やスコアなんて関係のない、実力のみが評価される世界で切磋琢磨しています。
英語を使って仕事をしたいから、留学をして流暢な英語を話せるようになりたいから、という理由で英検1級に合格しなければならないと思っているならば、それは少し違うと思います。
それは、英検1級に合格しなくてもできますし、合格したからといって必ずしも約束されていることでもありません。
ではなぜ英検1級を受験するのでしょうか?
次に英検1級から得られるもの。私が英検1級を受験した本当の理由をお教えいたします。
英検1級から得られるものとは?
1.英語を勉強し続けるための原動力と目標
「英検1級に合格する」というのは英語を勉強するための、もっと上を目指すための、とてもわかり易い目標になります。
「英検1級合格した!」といえば、誰もが(英検1級のすごさを知っている人なら)「おおお〜」となります。
単純に山の頂点に登りたい、英検の最上級レベルに合格したい、という憧れです。
しかし、これこそが、明確な目標をもつことが、英語を上達させる上で、なくてはならないものなのです。
英語の勉強する上で一番むずかしいこと&大切なことは、「継続すること」
そのための明確な動機や目標は必要不可欠です。
◎英語上手な人は学ぶことに貪欲
英語でコミュニケーションをとることや、新しい言葉や表現を覚えることを楽しめる人は、英語力UPが早いです。
英語そのものを楽しめるから、継続するための強い動機づけになります。
私の周りの英語力が高い人々は、新しい言葉や表現を覚えることに常に貪欲です。
ネイティブ並の人でも、わからない言葉や知らない単語にであったらチェックしています。
そうやって英語上手な人々はけして英語を学ぶことをやめません。
継続することが、唯一無二の英語力向上に必要なことなんですね!
私は昔から「継続は力なり」という言葉が好きですが、よく言ったものです。
◎英語が苦手な人も資格という目標を利用する
英語がまだ楽しいと思えない、英語は苦手だけど勉強する必要に迫られている。という人には資格試験に合格することを目標に掲げることで、英語を勉強し続ける動機を作ることができます。
英検でなくてもいいのですが、このように意図的に目標設定すること、それを1つづつクリアしていくことは、勉強を続けるための強い動機になります。
英検は英語の勉強をつづけるための最適な目標設定になります。
理由は次でご紹介いたします。
◎英検はわかりやすい目標になる
英検は目標としてとてもわかり易い試験です。
シンプルに合格・不合格があります。
不合格だった場合でも、スコアもでますし、不合格A,B,Cとランク付けされます。
合格であった場合でも、バンド評価があるので自分の位置がわかります。
ギリギリ合格だったのか、ハイスコアで合格したのか。
何ができてできなかったのか、間違った問題についてもハッキリとわかります。
(ここがTOEICと異なり、英検のいいところ)
もちろん英検を受験するからには合格を目指しますが、不合格であっても自分の英語力の伸びは確認できるし、不合格Cの人が不合格B以上を目標にしたっていいのです。
少なくとも自分が受験する級の英検に合格するまでは勉強しようという強い動機が生まれます。
自分の英語力チェックのために不合格になっても、合格するまでは、不合格通知は捨てずにとっておいてくださいね。
詳しくは、こちらの「不合格通知の使い方」の記事もご参照ください。
2. 進歩した英語力から見える新たな世界
学習曲線というのをご存知でしょうか?
学習曲線にはプラトー(Plateau)という停滞期が必ずあると言われています。
英語を勉強し始めたばかりのときは、どんどん英語力は伸びるのですが、ある一定の時期に到達すると、停滞期に入ります。
どんなに単語を覚えても、どんなにたくさん英語を読んでも、聞いても、進歩を感じなくなる時期がくるのです。
そしてそのプラトーを乗り越えると、再び急激に英語力が伸び始めるというもの。
参考記事 : 学習スランププラトーとは?
実は英検1級の勉強を続ける中で、まさに久しぶりにこの停滞期を脱出する瞬間を感じたのです。
それはこんなこと。
- ある日突然今まで聞こえて来なかった単語が耳に入るようになる
- 1級の単語が単なるマニアックな単語ではないことに気づく
- 言葉の表現力が増えて、前よりも言いたいことが言いやすくなる
- 英語コンプレックスが少なくなる
などです。
英検1級に合格した直後になにか劇的な変化は感じませんでした。
むしろ私の中で劇的な変化は「合格前」に起こりました。
このプラトー脱出体験は、合格した英検1級1次試験を受ける約1〜2ヶ月前ぐらいです。
英語のニュースを聞いていたら、いままでだったら絶対聞き取れていない単語がすっと耳に入ってきました。
出る順パス単で単語を暗記していた時は「こんな単語一生使わない」と思っていたのに、翌週同じ単語を全く関係ない本や雑誌で目にしました。
その時気がついたのは、「英検1級の単語は試験のための単語で、一般では使われていない」と思っていたのは間違いであったということ。
知らない単語は、世の中に溢れていても、気にもとめない。
知っている単語は、意識しなくても聞こえてくる。
ということ。
英検1級の単語はマニアックすぎる。英語を話すために必要ない。
という方もいますが、そうとも言えません。
コンテキストが変われば、マニアックな単語も必要な場合があります。
その単語の存在を知っていることと、全く知らないことには大きな隔たりがあります。
その単語、表現を知らないという理由で、世の中のたくさんの情報を自らシャットアウトしていたんだ、ということに気づいたのです。
そして、なんとなくではありますが、この突然「脱皮した感じ」の後に、今回は1次試験に通過する気がするという直感がありました。
「ついに合格のための準備はできた」という感覚。
それは準1級に合格したときにも、ありました。
この感覚があった後に受験した英検はどの級も概ね合格していたように思います。
このような自分の英語力の進化を感じられるということ。これこそが、英検1級を勉強することの真の価値だと思うのです。
それと同時に今まで立っていた場所、自分の英語力から見える景色はなんて狭いところだったんだ、ということに気づくのです。
まだこの感覚を得ていないという方は、ぜひもう少し忍耐強く勉強を続けていただき、体感していただきたいと思います!
3.自分の英語に自信がつく
私自身が英検1級に並々ならぬこだわりを持っていたのは、この理由からではないかと思っています。
英検1級という資格があるかないかで、就職が有利に働くことはあまりないと言いましたが、資格というものの意味はむしろ自分自身のためではないかと思います。
自信を持って「英検1級取得」と履歴書に書けることで、より強く英語力をアピールすることができます。
資格は客観的に評価されているものなわけですから、水戸黄門の家紋のごとく堂々とアピールできるわけです。
そういう意味では、英語に自信をもつことが、より積極的な行動につながるということは言えると思います。
私は英検1級に合格してから英語に関するブログを書いていますが、実は英語コンプレックスの塊です。
ネイティブの人たちと話すときに、思うように表現したいことがでてこないときはあります。
発音が上手でない、「スーパージャパニーズイングリッシュ」です。
いまだにLとRの違いを聞き取れません(笑)
それでも英検1級に合格できたことで自分の英語に対する自信がつきました。
完璧ではないものの、英語を使って、英語ネイティブの人たちもいる中で仕事をしています。
英検1級を目指す人なら、少ならからず英語が好きで今までたくさんの時間を英語の勉強に費やしてこられたと思います。
好きで継続できるということも、1つの才能です。
続けてこれた事自体も自信をもっていいと思います。
勉強してきた成果を証明するためにも英検1級という目標を掲げ、自分の英語力にもっと自信をつけられるように合格めざして頑張っていただきたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以上が私が考える英検1級の真の価値です。
- 英語を勉強し続けるための原動力と目標
- 進歩した英語から見える新たな世界
- 自分の英語に自信がつく
英検1級合格は最終ゴールではありません。
繰り返しになりますが、英語を極めるために必要なことは「継続する力」
英検1級はそれを手助けしてくれる1つのマイルストーンのようなもの。つまり、小さなゴールです。
それをクリアした先にはまた次の小さなゴールを目指すことになるはず。
英語という言語を豊かにすることで、人生をもっと豊かにしていく。
そんな気持ちで英語と上手に長くお付き合いできたら、こんな素晴らしいことはないなと思います。