基礎文法力もあり語彙も十分にあるのに英検1級の英作文の点数がのびないという方。
英検1級の英作文は、「ただ正しい英文を書けばいい」という訳ではありません。
文法間違いやスペルミス以外にも減点の対象となることがたくさんあります。
「ライティングは割と得意だから英作文はなんとかなるだろう」という姿勢で試験に臨むと痛い目にあってしまうんです。
私自身も英検1級の不合格通知をもらったときには、英作文の対策を全くというほどしていませんでした。
英作文は半分ぐらい点数がもらえればいい、なんて程度では合格できないのです。
むしろ英作文こそしっかり対策して点数を稼ぐべきパートなのです。
今回は、英文はそこそこ書けるのに英検1級の英作文の点数が伸びないという人へ向けて点数が伸びない理由とその対策や参考書をご紹介いたします。
目次
英検1級の英作文で減点されること
以下に英検1級の英作文で減点対象となる要因を挙げてみました。
心当たりのあるものはいくつあるでしょうか。
- 論理的な文章になっていない
- 質問に対する答えになっていない
- 同じ語彙を繰り返し使う
- 文法ミス、単語のスペルミス
- 字数が不足している、超過している
- 与えられた条件を満たしていない(理由を3つ挙げていない、イントロダクションやコンクルージョンがないなど)
あきらかな英文法の誤りや、スペルミスはもちろんのこと、内容が論理的でない場合も大きな減点対象になることをご存知でしょうか?
英作文で点数が伸びない人の多くは、この論理矛盾による減点によるところが多いと思われます。
また当然ながら与えられた条件を満たしていない文章も大きな減点になりますので、英検ルールに従った文章を短時間で書く練習が必要になります。
語彙や文法も難しいものを多く使えばいいというものでもありません。
正しくない文法や単語はいくら高度なものでも減点の対象です。
こういった減点の対象を確実に減らすことが、得点増加のための鍵となります。
- 論理的な文章になっていない
- 高度な文法や表現を多用する
- 下書きをせず思いつくままに書く
上記3つの落とし穴は、実際に私がしてしまったことです。
英検1級の英作文の点数がなかなか伸びないという人は、どれか当てはまるとはありませんか?
それぞれの落とし穴について詳しく説明するとともに、参考となった書籍も合わせてご紹介いたします。
実は多い論理的な文章になっていないケース
英検1級の英作文問題で質問を見てからすぐに英文を書き始める人は、論理矛盾をした文章を書いてしまいがちです。
下書きをして構成を考えずに、思いついたままに英文を書いてしまうと、「英文を書く事、知っている表現や文法を使うこと」に集中してしまい、「内容が一貫している事、論理矛盾をおこしていない事」などがおろそかになりがちです。
一見すると誤りのない綺麗な英文を書いたようでも、文章の中身が論理的になっていない、文章の自然な流れになっていない場合は点数には結びつかないのです。
質問を見て、最初の3分〜5分でしっかりとした文章構成を組み立てをして下書きをしてから英文を書き始めることを強くオススメします。
論理的な文章がいまいちピンと来ない人への参考書
では論理的な文章ってどんな文章なの?
という疑問を持たれている方に参考となる書籍がこちら。
英検1級、通訳ガイド試験、TOEFLやGRE対策にも有効なスピーキング対策本です。
論理的なスピーキングのための参考書ですが、ライティングにも大変参考になりました。
論理的ではない文章を見て、どこが論理矛盾かを考えるトレーニングがあるのですが、論理的思考力がない私にとってはとても難しいものでした。
ですがこの難しいトレーニングをすることで、一見正しい論理展開のようでも論理矛盾をおこす落とし穴があるのだということを知りました。
英検1級の英作文ではこの参考書の問題ほど難しい論理的思考力を問われてはいません。
しかし論理的思考力の基礎がなければ決して合格できないことも間違いありません。
もう1冊、論理的な文章とはどういうものかを学ぶためにオススメの参考書が『英検1級面接大特訓CD付』です。
こちらも一見正しい論理展開のように見えるのに間違っている英作文と、それをどう直せばいいか添削コメントが載っています。
悪い例を見る事で、論理的な文章とは何かを学ぶことができました。
こちらは英検1級面接向けの参考書ですが、1次の英作文の対策としても大変役にたちます。
また、「イントロに効果的な表現」や「促進・改善するを表す表現」など英作文にそのまま使える表現がまとまっているのが便利です。
1次を通過すれば面接のための参考書は必要になりますので、1次の時から購入していて損はありませんよ!
論理的な文章の下書き方法や定型文の参考書
英検1級の英作文ルールって?
下書きってどう書けばいいの?
という疑問をお持ちの方には、わかりやすく英検1級の英作文攻略方法をまとめているこちらの参考書がオススメ。
英検1級の英作文問題にそのまま使えるような表現がたくさん載っているのがいいです。
200個のコンテンツブロックを読むだけでも使える表現や語彙が身につきます。
実践演習もできるので、これ1冊あれば他の参考書はなくてもいいというぐらいです。
またこの参考書にでてくる英文は難しすぎないところがいいです。
過去問の模範解答を読むととても高度な文法や語彙が使われていて、すごく難しそうと思いませんか?
でも実際はもっと簡単な表現でも十分に内容の充実した「英検1級用の英作文」を作ることができます。
『最短合格!英作文問題完全制覇』にでてくるサンプル表現は、どれも「私でも使えそうだ!」というシンプルでわかりやすいものばかりなのがいいです。
英作文問題の解き方をじっくりと読み、サンプル英文を繰り返し読み、実践問題を1日1問解けば、英作文対策はばっちりです。
こちらの参考書を使った最短2ヶ月の英作文対策の勉強法の記事も以下にご紹介しますのでご興味のある方はあわせてお読みください。
論理的な文章を書くためには
論理的な文書を書くためのポイント3つは以下のとおりです。
- 最初に構成を下書きすることが大切(3分〜5分)
- Yes/Noの立場を決めたら、矛盾しない一貫した文書をかくこと
- 間違えサンプル文章を読むこと
最初に構成を下書きします。
下書きは箇条書きでも構いません。日本語でも英語でもOKです。
質問に対して賛成の立場のサポートになる根拠、反対の立場のサポートになる根拠、両方を書き出してどちらか書きやすい方の立場を選択します。
「下書きなんて本当に必要?」と思われるかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。
箇条書きにするだけでも頭の中が整理されて文章の構成をしやすくします。
下書きなく思いつくままに書くのは、設計図もなく家を建てはじめるようなものです。
細部に気を取られて全体のバランスが悪くなったり、結論が違うところにいってしまうなんてことになります。
たった数分でも下書きに時間を使うことが結果的には英作文全体のスピードアップにもつながります。
一度、Yes/No、賛成・反対となる立場を決めたら、自分が主張する立場と反対となる主張や関係のない事柄を書かないよう、首尾一貫した文章をかきます。
こうした論理的な文章を書くためには、論理的な文章のサンプルや、失敗している事例などをたくさん読むといいと思います。
正しい文章だけ読んでもどこがどういいかわからないのですが、論理矛盾してしまった間違え文章とその解説を読むと「これが論理的でないということか」という気づきがあります。
英検1級英作文にオリジナリティは不要
英作文のテストだから、難しい構文や単語をたくさん使えば得点がアップするのでは?
とつい思ってしまうのですが、そうでもありません。
シンプルな構文、安易な単語でも構いません。
むしろ自信がない場合には難しい表現は控えた方が懸命です。
もっといいますと、「定型文」が使える部分は使った方が確実です。
英作文の得点を安定して高得点にするためには、確実に使える表現を増やすことが大切です。
採点者がおっと思うような個性的な文章なんて書かなくていいのです。
英検1級の英作文にオリジナリティは不要です。
無難でわかりやすく、誰が読んでも「そうだね」と思う超シンプルな文章がいいのです。
英作文は基本減点方式なのですから、減点されない英文を書くことが大事です。
- 確実に使える文法・語彙・表現を増やし、正しいという自信がない単語や表現は使わない
- 文章のコンテキストに合った語彙を選択すること
- イントロダクションは定型文を使うと時間の節約になる
コンテキストに合った単語を選ぶとは?
英検1級にでてくる単語には「同じ意味で違う単語」が多く存在します。
例えば「推測する」という意味の単語を挙げてみます。
assume, presume, speculate, infer, estimate, project, conjecture
実はこんなにあるんですね!
しかしこれらの単語は全て「推測する」の意味を持ちますが、それぞれニュアンスが微妙に異なります。
単語 意味 assume 確たる証拠もないのに本当だと思い込む presume 7〜8割の可能性でそうだと思う speculate 詳細については知らないで、原因や影響を考える infer 既知の情報から事実であると判断する estimate 価値・規模・速さ・価格などを計算と推測で判断する 『英語で意見を論理的に述べるトレーニング』より
「彼らは工事は少なくとも3ヶ月はかかるだろうと推測した。」
という文章を英訳した場合、
They estimated the construction would take at least 3 months.
「推測した」はestimateが最も適切だということになります。
これが「コンテキストに合った単語を選択する」ということです。
英語ネイティブの人が読んだ時に「しっくりくる」文章になっていることが大切です。
コンテキストに合う単語を使うのに、難しい単語ばかりとは限りません。
基本的な単語でもコンテキストに合った単語や表現を使っていれば評価されます。
そのためには、こうした単語の微妙なニュアンスまで覚えておかなければいけないということですね。
「英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング」には、ワンランクUPの表現集が掲載されており、英作文でよく使う動詞について意味の細かいニュアンスと例文が紹介されています。
英検1級の英作文対策としてとても参考になりました。
定型文を使いたおす!
毎回同じ表現を使うなんて。と思われる方もいるかもしれませんが、英作文の減点を避けるためには最も確実な方法です。
私はいつもイントロの書き出しは同じです。
なんども英作文を書くうちに「こういうときはこう書く」という定型表現が身につきます。
本番のときも臆することなく、「いつもの表現」をばんばん使いましょう。
冒険はしないでください(笑)
先に紹介した『英検1級面接大特訓』には使える短いフレーズ、表現がまとまっており重宝しました。
イントロで使う定型文についは、「英検1級英作文対策と勉強法〜最短2ヶ月で攻略〜」にてご紹介させていただいています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は英検1級の英作文問題でついやってしまいがちな落とし穴についてご紹介させていただきました。
独学で勉強していると知らないうちにこうした穴にはまってしがいがちです。
英作文を添削してくれる先生がいなくとも、コツさえ抑えて勉強すれば独学でも十分に英作文の得点アップは狙えると思います。
みなさまの参考になれば幸いです。