英単語を覚える方法は様々ありますが、人によっては覚えやすい、覚えにくいやり方があります。
「単語帳で英単語を覚えるのが苦手」
「理屈っぽいので、英単語の見た目(スペル)と意味のギャップがあると覚えられない」
「英単語がなかなか記憶に残らないので困っている」
本記事は上記のような人に役立ちます。
今の英単語の覚え方が自分に合っていないと思うなら、別のアプローチを試してみてはどうでしょうか?
私がオススメするのは「語源で学ぶ英単語学習」です。
目次
英単語の語源を学ぶメリット
英単語の語源を学ぶことで、得られるメリットは大きく以下の3つです。
一つづつ説明していきます。
- 単語の成り立ちを覚えるので忘れにくい
- 類似する単語をまとめて覚えられる
- 知らない単語の意味を推測できる力がつく
1.単語の成り立ちを覚えるので忘れにくい
英語は、ラテン語、ギリシャ語、ドイツ語から派生して生まれた言語です。
元のラテン語やギリシャ語が、英単語の一部に使われています。
その元の意味を知ることで、英単語も意味のある「文字」として見えるようになります。
たとえば漢字を学習するときに、亻は人という漢字の変形とか、扌は手という漢字の変形とか、漢字のパーツの意味がわかると漢字全体の意味が想像しやすいし、記憶にも定着しやすいですよね。
同様に語源を学ぶということは、英語のパーツの意味を知ることであり、英単語の意味が想像しやすくなり、記憶に定着しやくなるのです。
例えばラテン語で、数字の1はuni、2はbi、3はtri、と表します。
それぞれどんな単語の中で使われているか例を見てみましょう。
数字 | ラテン語 | 使われている英単語 |
1 | uni | unicycle(一輪車), unicorn(ユニコーン) |
2 | bi | bivalve(二枚貝), bilingual(バイリンガル), binary(二進法) |
3 | tri | triangle(三角形), tricycle(三輪車), trio(トリオ), tripod(三脚) |
ユニコーンは、1つの角がある一角獣。
バイリンガルは2ヶ国語を話す人、コト。トリオは3人組のことですね。
たった3つの語源を知っているだけで、このようにたくさんの英単語の意味を連想できます。
uni=1だとわかれば、数字の1に関連するなにかの単語だというヒントになり、イメージが関連付けられてより記憶に残りやすくなります。
2.類似する単語をまとめて覚えられる
英単語の語源を理解すると得することの2つ目は、類似の英単語をまとめて学習することができることです。
例えば品詞のルールを理解していれば、単語のお尻部分を見ただけで、単語の品詞がわかります。
品詞とは、名詞、動詞、形容詞、副詞などの文章における役割です。
代表的な単語のお尻 | 単語の例 | |
Noun(名詞) | -sion, – tion, ty | opposition, implication |
Verb (動詞) | -ate, -t , -ise, ize | annihilate, reject, personalize |
Adjective(形容詞) | – tive, -ous, -ted | obsessive, dejeted, insidious |
Adverb (副詞) | -ly | obsessively, dejectedly |
1つの英単語を覚えたら、同じ単語の他の品詞も覚えると一度に3〜4個をまとめて覚えられることになります。
例えばResponsibility(責任)という単語は名詞ですが、品詞違いでResponsible(責任がる)という形容詞もあります。
お尻を-lyに変えれば、Responsibly(責任をもって)という副詞です。
このように品詞違いをチェックするだけで1単語が3単語になります。
また品詞ルールを知っていれば、知らない単語でも品詞だけは推定できます。
別の例です。
ラテン語のsed-は”to sit”(座る)ことを意味します。
sed-を含む英単語 | 意味 | イメージ |
sedentary | いつも座っている、定住性の | デスクワークはsedentaryな仕事 |
sediment | 沈殿物 | 液体の底に沈んでいるsedimentを混ぜる |
sedate | 平静な | 落ち着いて物静かに座る人物はsedateです |
sedが座るという意味だとわかると、このように類似する単語を関連付けて覚えていくことができます。
どうですか?
不思議とSedが座るという意味だと知った上で、Sedのつく単語を見ると格段に覚えやすくなりませんか?
語源を学ぶことで、同じ語源を持つ単語をまとめて覚えることができますし、その単語の持つ意味をイメージしやすくなります。
3.知らない単語の意味を推測する力がつく
英単語の語源を学ぶことのメリット3つ目は、知らない単語から意味を推測する力がつくということです。
例えば Sedative という単語はかなり難易度の高い単語ですが、意味を想像できますか?
Sedは座るの意味があり、Sedateは平静なという意味があると先ほど学びました。
座って落ち着いているイメージですね。
さらに-tiveは形容詞であるということも、学びましたね。
Sedativeの意味は、「苦痛を和らげる、鎮静の」という意味の形容詞です。
座らせる→痛みを落ち着かせるという連想です。
はじめての英単語でも、完全な意味は分からなくても、大まかな意味や、単語の役割は推測できるようになります。
一見難解に見える単語でも、単語のパーツの語源を知っていれば、パーツに分解することでおおよその意味がとれます。
特に英検1級の語彙の選択問題では、この力が非常に役立ちます。
語彙選択問題は4択です。問題文の空欄に明らかに当てはまらない意味と推測できる単語を消去法で選択肢からはずすことができれば、正解率は格段にあがります。
英単語の語源を学ぶためのオススメ教材
「英単語の語源を学ぶと、単語の暗記が効率よくなるかもしれない!」と思われた方へ、私がオススメするレベル別3つの教材です。
初級編:英単語の語源
最近ネットでよく見かける英単語の語源をわかりやすく解説している本です。
「語源ってなんだろう?」
といった語源初心者には、語源というものは何なのかを知るためによい入門書です。
個人的には、英検1級受験者には物足りない単語レベルだと思います。
英単語の語源 | |
ここが良い! | 日本語で語源を学べる イラスト入りでわかりやすい解説 |
ここが残念! | 英語上級者に物足りない単語レベル |
オススメ度 | ★★★ |
中級編:Instant Word Power
Instant Word Power | |
ここが良い! | 語源学習の基礎が網羅されている 語源の由来までしっかり説明されている 英語で読むので単語の正確な意味をつかめる |
ここが残念! | 洋書なので読むために努力がいる ペーパーバックで書き込みがしずらい |
オススメ度 | ★★★★★ |
時間をかけて語源を基礎からしっかり学びたいという人にオススメ。
洋書なので、読むための労力は必要です。
Instant Word Power をひとおおり学習すると、新たに500語の英単語を覚えられると記載されていますが、私の体感としてはもっと多く1000語近くの英単語を覚えられたのではないかと思います。
さらに、ただ覚えるだけでなく、記憶にしっかりと残るので時間をかけて取り組む価値があります。
私もInstant Word Powerを一通り終えるまで、実際かなりの時間を要しました。
時間をかけて英語のパーツをひとつひとつ学んだことで、めったにお目にかからないような単語に、1年後や2年後にふと出会ったときに意味がわかるという快感!を得られたことがあります。
その単語はcentipedeという単語で意味は「ムカデ」
ネイティブスピーカーが“昔森の近くに住んでいた時にすごいムカデがいてさー”っていうような話を何気なく聞いていたときのこと。
centipedeという単語が耳にとびこんできて、その意味がわかった時、あの時勉強した単語は私の記憶にまだ残ってたんだ!と感動と喜びを感じたことがあります。
このような忘れかけたころにふと役立つマイナー単語の記憶は、ほとんどInstant Word Powerから学んだ単語です。
Centi=100、pede=足 という意味で、たくさん足のある生き物=ムカデってことなんですが、詳しくはInstant Word Powerを読んでみてください。
上級編:Word Power Made Easy
Word Power Made Easy | |
ここが良い! | 上級語彙の語源を網羅できる 英単語のジャンルごとに関連単語をまとめて学べる 英語で読むので単語の正確な意味をつかめる |
ここが残念! | 洋書なので読むために努力がいる ペーパーバックで書き込みがしずらい |
オススメ度 | ★★★★ |
もっと語彙力の底上げをしたい方はWord Power Made Easyでさらに数千語の語彙知識を得られます。
Word Power Made Easyは英語ネイティブの学生が、英単語の理解を深め、語彙力の幅を広げるために学習する語源学習書です。
私は本書Word Power Made Easyの3分の2ぐらいを終えたところで、英検1級に合格しました。
英検1級の語彙問題にでてくる単語はかなり難易度が高いのですが、Word Power Made Easyでは、英検1級単語がたくさんでてきます。
上記で紹介した中級編のInstant Word Powerと同じ作者が書いた洋書です。
一通り終えるためには相当な労力がいると思いますが、本書一冊終えれば語彙力12000語レベルには到達すると思います。
WORD POWER MADE EASY の使い方の詳細は「語源を学び英検1級語彙力をアップするWORD POWER MADE EASYの使い方」も参考にしてみてください。
語源学習のデメリット
ここまで英単語の語源学習の良いところについて紹介してきましたが、語源学習のデメリットについてもお伝えしておきたいと思います。
私が考える語源学習のデメリットはこの2つ
- 時間がかかる、労力がいる
- 語源ルールにも例外がある
まず1つ目は、時間がかかり労力がいるということ。
最初は1つ1つの語源をしっかり理解する必要があるので、英単語の丸暗記と比べると時間はかかります。
洋書の語源学習では2倍3倍の時間はかかるでしょう。
その苦労を乗り越えた先には、驚異の定着率で英単語の意味が記憶に残るのです。
2つ目は、語源ルールにも例外があるということ。
全ての英単語を語源のパーツに分解するというのは無理があります。
語源の中にもいくつも例外的な変形をするものもあり、正直わかりにくい語源もあります。
語源から英単語を学ぶときには、語源から学んだほうがわかりやすい、記憶に残りやすいものだけをチョイスしていけばいいと思います。
全ての語源を完璧に記憶する!というのはやめたほうがいいし、かえって時間の無駄にもなりかねませんのでご注意ください。
まとめ
いかがでしたでしたでしょうか。
英単語の語源を学ぶ学習法は、数ある英単語学習法の中でも私イチオシの勉強法です。
以下にあらためて、語源学習のメリットVSデメリットをまとめます。
- 単語の成り立ちを覚えるので忘れにくい
- 類似する単語をまとめて覚えられる
- 知らない単語から意味を推測できる力がつく
- 時間がかかる、労力がいる
- 語源ルールにも例外がある
語源学習のメリットとデメリットを理解した上で、あなたの英単語学習法にとりいれてみてはいかがでしょうか?
はじめまして。
英検の勉強法を参考にさせていただいてます。明後日、準1級を受けるのですが、今回は全然勉強してないので、終わったら計画的に勉強しようと思っています。
私は2級レベルくらいの単語力しかないのですが、語源学習は中級編のテキストから始めた方がいいですか?上級?それとも初級?
よろしくお願い致します。
なおさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
英検準1級を受験されるのですね。是非頑張ってください。
たとえ勉強&準備していなかったとしても、今の自分の実力を測ることは価値があることだと思います。そこからあと何点で合格できるか、受験後に分析してみてください。
私がオススメしている中級&上級編の語源学習のテキストは、洋書なのでややレベルが高いです。
語源学習が初めてという人は、初級編の日本語著書から始めて語源の学習に慣れてみてください。
英検2級〜準1級の単語は、これから英語を使っていく上で基礎となる単語。
そこから更に語彙力をアップさせたいなら、中級&上級編の洋書で語源の勉強をしていくと、語彙力が飛躍的に伸びます。
こちらの英検1級の単語を半年で4000語覚える方法(https://yayoiuriko.com/tango1/)でも紹介しているのですが、複数のアプローチで並行して単語を学習すると相乗効果でより記憶に定着するので、いまの単語学習の方法に少しだけでも語源学習を取り入れることは効果があります。
英単語に潜む共通のパーツの意味を少しづつ理解していくと、英単語の学習が楽しくなりますよ。
弥生