仕事で使う英語と試験のための英語とは違う、といつも思います。
英検1級を取得していても、TOEIC900以上でも、仕事の英語ではまだまだ不便を感じるという方もいると思います。
「自分の英語力がまだたりないのか?」
「仕事の英語を伸ばすにはどうしたらいいのか?」
「これから英語を仕事につなげたい。」
そんな方にむけて今回は、仕事で使う英語術についてお話いたします。
私は現在、仕事で英語を使っています。
とはいえ、通訳や翻訳といったようないわゆる「英語プロフェッショナル」ではありません。
メインの仕事があり、英語はあくまでもツールです。
しかし日常的に英語を使う仕事です。
職種はビジネスコンサルタントです。
英語を使う場面は、社内のミーティングであったり、海外顧客とのミーティングであったりします。
私がこの仕事について間もないころ、英語力は今とそれほど変わらなかったと思います。
ところが、最初の頃は英語ミーティングについていけず、焦る毎日。
英語ができないことで、できる仕事も限られていました。
そんなお仕事英語と格闘する日々をどう乗り越えたのか。
振り返ってみると、いくつかコツがありました。
当たり前のことかもしれないけど、意外とみんなできていない。そんなお仕事英語のテクニックです。
目次
1.わからなかったら聞き返す
まず1つ目は、わからなかったら聞き返すということ。
「え、そんなこと?」って思います?
そんなことなんです。
でも、英語ができない(と思っている)時って、ネイティブの会話を止めて、「ちょっとまって、◯◯がわからないんだけど」って言えますか?
わからないときに、わからないと言えること。
これが、お仕事で英語ができる人とできない人の1つの分かれ道だと思っています。
- Sorry, I didn’t get it.
- Pardon?
- Can you please explain it again?
とか、なんでもいいのです。
わからないところを、わからないまま聞き続けても、会話の流れについていけなくなります。
わからないときは、勇気をもって「わからなかった」といいましょう。
ミーティングの人数が多かったら、何回も「わかりません!」といって会話を止められない場合もあると思います。
ですので聞き直しは、1対1の会話の場合や、普段の会話の中から始めてみましょう。
それでも、なかなか聞き返すことができないという方。
私が「Sorry?」「Pardon?」と堂々と聞き返せるようになったのは、ある1つの真実に気づいたから。
それは、「ネイティブだってわからなかったら聞き返している」ということ。
たとえば、おじいさんが話す言葉が聞き取りづらかったら、聞き返しますよね?
それと同じで、ネイティブだってしょっちゅう、聞き返しているんです。
なのでノンネイティブの私たちが一度も聞き返すことなく全て完璧に聞き取れるなんてことはありません。
聞き返す=英語力がない という偏見をまず捨てましょう。
会話はコミュニケーションです。
言葉は伝わならなければ意味がありません。
あなたが「Sorry?」と聞き返すことで、相手にメッセージが正しく伝わっていないことを教えてあげるのです。
聞かれた方も、「言い方がわるかったのかかな?もっとゆっくり話すほうがいいかな?別の言葉で説明し直そうか?」と別のアプローチを考えてくれるはず。
あなたがわからないことを相手に伝えることで、コミュニケーションが一歩広がるということを忘れないでください。
これはお仕事英語に限らず、英語のコミュニケーションにおいては重要なことですね。
2.相手が言った内容を繰り返す
つづいてお仕事英語で私がよく使うテクニックは「繰り返し」です。
相手の質問がなんとなくはわかったけど、100%は分かっていないときなどに、確かめるために使います。
単なる聞き返しよりも、すこしレベルUPしたテクニックですね。
特にお仕事の英語では、少しの勘違いが大きな問題になることが多いです。
ここぞというときには、リピートすることで、相手の意図をしっかりと理解したことを確認します。
例えば、If I understand you correctly, you are saying ◯◯◯? . (相手の言ったことを自分の言葉でいいなおす)
という風に、相手が発言した内容を自分でもう一度繰り返すのです。
これには2つの意味があります。
- 相手が言ったことを自分が正しく理解しているのか確認する。
- 相手に自分が理解したことを伝える。
このテクニックを使うと、相手も「あぁ、この人私がいったこと理解しているな」と感じてもらえるので、双方の意思確認になりコミュニケーションが円滑になります。
他にもこんな表現でリピートします。
- May I confirm your question? You means ….
- Tell me if I am wrong. I think you are saying…
- You can correct me if I was wrong
3.重要ワードを真似る
ビジネス英語の中で、コンテンツにおける重要なキーワードについては、相手が使った単語をそのまま使うことで、「共通の認識」がうまれて理解度が高まります。
例えばこんな感じです。
A : How is your office? Are you working home due to corona virus?
B: Yeah. Most of people are working remotely. We are very scared of COVID-19.
A. Of course. Our company also advised official COVID-19 guidelines.
コロナウィルスについての会話です。
最初にAさんが、コロナのことをCoronaと呼びましたが、Bさんが正式名称のCOVID-19と呼んだので、Aさんは次にCOVID-19と呼びなおしました。
小さなことですが、これもコミュニケーションを円滑にするための1つのテクニックだと思います。
専門用語がとびかうビジネス英語の中では、こうした気配りが大切なんですね。
4.英語のクオリティより、会話の中身
最後にお仕事英語において最も重要なことは、「英語の質より、会話の質」ということ。
どんなに美しい英語で流暢な会話をしたところで、交渉が成立しなければ意味はないです。
相手に自分の意図が伝わらなければ意味がないです。
相手の気持ちを理解できなければ意味がないです。
そのためには?
その仕事の中身をよく理解している必要があります。
商談であれば、相手のことや商品の機能やアピールポイントなど。
コンテンツをしっかり知識として身につけた上で、英語で表現するにはどうすればいいかも用意すること。
そうすれば、たとえ文法が多少間違っていたとしても、単語がでてこなかったとしても、あなたがアピールしたい商品の内容は伝わるはずです。
商談がうまくいかなかったのはあなたの英語力の問題ではなく、交渉コンテンツの問題であることのほうが多いです。
英語はコミュニケーションツールの1つに過ぎないということを常に忘れてはいけません。
コミュニケーションを成立させるためには、言葉だけでなく、表情や声のトーン、ビジュアル(プレゼン資料・サンプル)など様々な要素が影響します。
言葉が不十分ならば、他で補えばいいのです。
他にも言葉以外で表現する方法はたくさんあります。
- 表情
- 沈黙 (重要な場所で間をあけるなど)
- ビジュアルツール(プレゼン・サンプル・アイテムリスト)
- ホワイトボードなどに書く
- ジェスチャー(手の動き・立ち上がるなどの動作)
ビジュアルツールや、抑えておきたい用語をあらかじめ用意してミーティングにのぞむだけで、大きな違いがうまれます。
もちろん英語というコミュニケーションツールのクオリティが上がれば交渉も容易になってくることは間違いありません。
しかし、お仕事の英語で大切なことは今の自分の実力で最大の成果をだすことです。
メインはあなたのお仕事であり、英語はサイドディッシュもしくは横のパセリぐらいに思っていいです。
ミーティングや交渉の場面では、中身が伝わることが第1ゴールであり、そういう場面で英語の上手い下手を気にせず、なりふりかまわず意思を伝えることができる人、そういう人が本当のプロフェッショナルだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
英語を仕事で日常的に話し、使っている人にとっては当たり前のことかもしれません。
でもはじめてお仕事英語のときには、ついつい忘れがちなことです。
英語ができる人でも、やはり言葉の壁はあります。
でもそれは総合的なコミュニケーションスキルで補えるはず。
自分の持てる武器を最大限に使いきって、経験を積むたびに現場で英語コミュニケーション術を学んでいくうちに、知らない間に英語で交渉ができるようになっている。
そういうお仕事英語の身につけ方は理想的だなぁと思います。
皆様も、本当に使えるビジネス英語を是非身につけてくださいね。